宮崎が悪いという論調に騙されないで
勤め先の会社でも、社員に呼び掛けて口蹄疫募金と署名の回覧をまわしています。
さすがに関心が高く、予想以上の署名・募金が集まりつつあります。
そんな先週のとある日の出来事。
同じ部署の後輩クン(新人)がおもむろに私の机の前に来てひとこと。
後輩クン「まっきゅーさん、募金の回覧用紙って、今どの辺にありますかね」
まっきゅー「う~ん? たぶんこのフロアのどこかにあると思うけど。どうかした?」
後「あのう、募金の金額、変えようと思って」
ま「下げる?金欠?」
後「いえ、上げます!」
ま「???」
後「昨日、ネットカフェで泊ったんすけど、口蹄疫のことネットで調べてたら、ひどかったんですよ。
自己責任だ、税金の無駄遣いだ。想像力ない奴らばっか。腹たっちゃって。」
彼がネットカフェに泊ったのは、飲みすぎではなく仕事のやりすぎですので、誤解なきよう(笑)
腹がたって募金を増額するという行動に出るのが不思議ですが、こういう義憤を持ってくれるのは頼もしいことです。
それにしても、ここにきて宮崎批判のような論調がマスコミでもネット情報にも流れていますね。
種雄牛の発熱の報告をせず隠していたとか、宮崎は自分達のことしか考えてないとか、ワクチン拒否する農家は「ゴネ得」を狙っているとか。
あまつさえ、自己責任だなんて。
なんでそういう発想になるかなー
何より真っ先に批判すべきは、政府の対応の初動があまりにも遅かったことでしょう。
発生して一か月たってから「対策本部」設置だなんて、おそまつすぎる。
伝染病は発生後いかに短時間で徹底的に抑え込むかが命なのに。
その責任と権限を持っているのは国なのに。
10年前にも北海道、宮崎で口蹄疫が発生したにもかかわらず、そのときよりも初動の対応が相当にぶかったようです。
口蹄疫の疑似患畜(発生が疑われる家畜)と同じ敷地内にある家畜を全頭殺処分することも、法律で定められていること。
その是非はともかく、現時点での義務なんです。
口蹄疫のウイルスがどこから入ってきたのか、未だ明らかにされていませんが、これだけ世界的に物と人の動きが活発化していると、日本中のどこで起こってもおかしくない。
発生農家には、何の落ち度もない。完全な被害者、いえ被災者です。
他県に発生を拡大しないように、本当に頑張ってくださっていると思います。
たしかに、口蹄疫の問題を抜きにしても、今の畜産業界は国の補助金なしには立ち行かないことは確かです。
私が畜産の担当になった当初、よくまーこれだけ補助制度があるもんだ、とアゼンとしましたよ。
日本の畜産の在り方にも、正直、突っ込みたいところイッパイあります。
輸入飼料に依存する生産構造、高密度・大規模化農場の増加。
畜産過密地帯地域の存在(北海道とか鹿児島とか宮崎とか沖縄とか…)
(どれも、口蹄疫発生、まんえんを助長する非常に危険な要素)
サシ至上主義の和牛の格付け評価。
きめ細かいサシを入れるために、ビタミンAを制限して、倒れる寸前までエサを食わせ続ける和牛肥育技術。
でも、この国から畜産がなくなってはいけない。
人間が利用できない草や有機物を、肉・乳・卵・堆肥など人間の役に立つ形に変えてくれる。
堆肥があるから、田畑で農作物がたくさんとれる。
(家畜堆肥を嫌う人もいるけど、有限資源の化成肥料よりずっと永続性があり、コストも低くすみます。今一度価値を見直してほしい)
それに、畜産農家はみんな魅力的。
大きな動物を扱うから危険も多く、毎日真剣勝負。
母ちゃん農家でも野太い声で叫びながら牛を引いたりします。
牛に踏まれて足の形が変わったりしても、それでも「牛がかわいい」というんです。
経済動物だから情に流されてはいけないと誰もが言うけど、お互いに信頼関係があるんだな、と感じる場面を何回も見てきました。
畜産農家に、ずっと安心して仕事を続けていってもらいたいな。
宮崎の畜産農家には、十分な支援のもとにしっかり元気になってもらって、そこから先、これからの日本の畜産の在り方を、みんなで考えていきませんか。
今回支離滅裂な内容ですみません。
牛にエサをあげる母ちゃん
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