アニマルウェルフェアをかじる
本日は、アニマルウェルフェアのシンポジウムに行ってきた。
「農業と動物福祉の研究会」が主催。場所は閉館直前のJAビル(大手町)会議場。
午前中は大地を守る会、アレフ(びっくりドンキー他)、ニチレイフレッシュなど民間団体や企業の実践が発表され、午後から韓国、台湾、日本、中国など東アジアの動物福祉の現状が発表された。
私は午後からの参加。
ほとんど予備知識がない状態で行ってしまった。
なので、これから書くことも、薄っぺらいものであることをご了承いただきたい。
「動物福祉」って、なんとなく今後の畜産の大きな流れの一つになるだろうなー、という予感があったので参加させてもらった。
だけど、本音としては「なんでわざわざ改まって動物福祉なんていうのかなー」という思いだった。
畜産に携わる者なら、多かれ少なかれ、家畜動物たちにストレスなく元気に育ってほしいと願っているし、そのために日々コツコツと努力をしている。畜舎や機械に投資もしている。
放牧とか、平飼いとか、濃厚飼料(穀物とかカロリーの高いエサ)をあまりやらないとか、日本の中ではいまだ特殊な「こだわりの飼い方」をしていることばかりを、動物福祉というのかな。
もんもん。
今日シンポジウムに参加して、動物福祉はそんなせせこましい概念ではないことはわかった。
家畜を飼うときに「家畜の幸せ」(*後述)を第一に優先して飼養方法を改善すると、家畜の疾病が減り、生産性も向上し、生産物は付加価値をつけて販売することができ、生産者にとってもイイんだよ。ということがまず言える。
高度成長期以前、農耕用として牛を一家に1頭飼っていた時のように、家族として(同じ生き物)として大事にしていこうという考えも根底にあるように感じた。
動物福祉を無視した高密度・穀物多給型などの飼い方をすると、温室効果ガスが余計に排出され、資源も無駄なり、草地は裸地化して砂漠化や災害増加の源になり、糞尿などによる環境問題も発生する。動物福祉が人類の存亡にもかかわる問題だという考え方も知った。
畜産業は世界中の温室効果ガスの18%を排出しているんだって。
牛のゲップのメタンガスがけっこうな割合を占めているんだろうな。
動物福祉はヨーロッパで進んでいるけど、東アジアはヨーロッパとは気候も違うし家畜文化も違うし、宗教感も違う。家畜の飼い方、動物福祉のあり方もそのままマネするわけにはいかない。
東アジア諸国で連携して、独自の動物福祉にのっとった畜産を形作っていかなきゃいけない。
そういうわけで、このシンポジウムの後半では、東アジア各国の動物福祉のチャレンジをテーマにしたのだろう。
ここも、なるほどそうかと思った。
いろいろと大事なんだな、という気はしてきた。
それにしても。
日本の畜産農家は、家畜が快適に生きられるように、すでにいろんな努力をしてきている(人が多い)。
動物福祉をさらに追求するには、既存の枠組みできる「より高度で画期的な飼養方法」を発展させるか。
あるいは「舎飼い」で「密飼い」で「濃厚飼料多給」という既存の枠組みをぶっこわして放牧、平飼いなど家畜福祉を追求した「理想の飼い方」で付加価値つけて独自販売するか。
うーん。
私はどっちかっていうと、この折衷案ができてほしい感じ。
重いテーマなのに軽いことしか書けず、へこみます。
今後も興味津津で調べていくつもり。
*参考:イギリスの家畜福祉委員会が提案した動物福祉で考慮すべき5つの自由
・飢えと渇きからの自由
・不快からの自由
・痛み、ケガ、病気からの自由
・正常行動を発現することの自由
・恐怖、苦痛からの自由
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