ささやかなうどんの夕べ
仕事帰りに、久しぶりに実家に電話をかけてみた。
「おお、まっきゅーね!いいとこに電話したね」
本日電話に出たのは父。いつもより上機嫌なのはなぜ?
「今日はおもしろかったよー。みんなでうどんを食べたんだが」
むむ、うどんを食べるのがなぜそんなにおもしろいのじゃ?
父の話によると、車屋台でうどんを売り歩くお兄さんと、最近お友達になったらしい。
なんでも、車から流すチャルメラのテープを売ってほしいと、お兄さんがわが実家の店にやってきたのがきっかけだとか。
ところが、実家ではCD・テープの販売は少し前にやめてしまっていたので、父は残念そうにことわった。
しかし、ここからが、わが父の親切おじさんぶりの本領発揮。
CDをヨソの店で買ってきたらテープに録音してあげてもいいよ、とお兄さんに話すと、お兄さん本当に近くの春屋書店からチャルメラCDを買ってきて、父に録音してもらったらしい。
そんなことで仲良くなって、一度自分のうどんを食べてほしい、ということになった。
で、今日は店の1階にある貸しスタジオに地元の仲間10名ほどが集まり、うどん大会となったそうだ。
父の話によると、集まったのは、父と、音楽イベント仲間のおじさんと、近所の仲のよい不動産屋さんと、私の中高の先輩で地元IT企業の若社長と、、、う~むいかにもこういうことが好きそうな人が集まってくれたものだ。
だしのきいたうどんは、たいそうおいしかったらしい。
父が首を突っ込んでいる地元の山のなかのライブステージでイベントがあるときにはぜひ呼ぼうとか、若社長が関わる地元のイベントで呼んだらどうかとか、夏の花火大会で、会場に近いわが実家の駐車場で売ったらどうかとか、不動産屋さんの従業員さんに今度ふるまおうとか、なんだか話がいろいろとはずんだそうだ。
ちょっとうどんお兄さんの役に立てたようで、上機嫌の父なのであった。
こういう、もうからん親切が、父は大好きだ。
いや、店はもうかってほしいに違いないが、商売そっちのけでこういう人との交流に夢中になってしまうのだ。
ささやかながら、さびれながらも、実家の楽器店・スタジオがボチボチやっていけているのは、もうかるための戦略以外の、父のこういう人好きな性格によるところが大きいのかも。
(もうかるための戦略は、いまひとつ楽観的すぎてハラハラするのだけど…)
ぼちぼちでいいから、こんな店や、こんなおじさんがいる街でありつづけてほしいなあ。わがふるさと。
これからも、ぼちぼちガンバッテネ。おとうさん!
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